小室直樹ソビエト帝国の崩壊』を10年以上ぶりに再読。文庫で再刊されていたため。ソ連崩壊を社会科学的に予測した名著と謳われているけれども、それを2022年の今、読むということはどういう意味があるか。ウクライナ戦争との関連で読むだけでは、それを他山の石とすることは出来ない。橋爪大三郎の解説が秀逸。師への敬愛に満ちている。

内容については、所々に社会科学者・小室直樹のキレキレな部分を感じつつも、多くの部分を占める(特に2・3章)軍事や戦争観についてはかなり食傷気味。ただし、橋爪が言うように、その端々に僅かに書かれているものがオッと思わせるものがあり、見逃せない。逆に言うと、古い本であることを抜きにしても、やはり読みづらい本ではある。